【何歳まで働ける?】定年後の選択肢とメリットデメリットを解説
65歳までの雇用が法律で保障され、70歳までの就業機会も広がってきました。実際に60歳以降も多くの方が就労を希望しており、何歳まで働けるのかも気になるところです。
この記事では、これからも働き続けたいシニア世代の皆さんに向けて、定年後の働き方の選択肢や働く際の注意点、必要な準備を分かりやすく解説します。長く働くことのメリット、デメリットを理解し、ご自身に合った働き方を見つけていきましょう。
シニア世代の多くは「65歳くらいまで」働きたいと考えている
現代の日本では、多くのシニア世代が定年後も働き続けることを希望しています。内閣府は令和2年版高齢社会白書で、60歳以上の方々に就労希望年齢を調査しました。
「何歳ごろまで収入をともなう仕事をしたいか(したかったか)」という質問では、「65歳くらいまで」が25.6%と最多でした。続いて「70歳くらいまで」が21.7%、「働けるうちはいつまでも」が20.6%と続いています。
これらの数字を合計すると、60%以上のシニアが65歳以降も働く意欲を持っていることが分かります。
高齢者を雇用する場合のルール
65歳までの雇用機会の確保
- 65歳までの定年の引き上げ
- 65歳までの継続雇用制度の導入
- 定年の廃止
70歳までの就業機会の確保
- 定年年齢を70歳まで引き上げる
- 70歳までの継続雇用制度を導入する(グループ会社での再雇用も可能)
- 定年制を廃止する
- 70歳までの業務委託契約を結ぶ制度を設ける
- 社会貢献事業に従事できる制度を導入する(地域活動や環境保護活動など)
なお、4番目の業務委託契約や5番目の社会貢献事業を選ぶ場合は、労働者の過半数を代表する者の同意が必要です。
このように、シニア世代の多様な働き方を支援する仕組みが整えられています。
パートタイムの定年制度
パートタイムの定年制度については、以下のようなルールがあります。
パートタイマー専用の就業規則で「定年は65歳」などと明記されている場合は、その年齢が定年です。
パートタイマー用の就業規則がない場合は、基本的に正社員の就業規則が適用されます。
また、高齢者が離職する際には、企業に以下の義務が課されています。
- 本人が希望する場合は、再就職支援を行う(努力義務)
- 1ヶ月以内に5人以上の高齢者が解雇などで離職する場合は、多数離職届を提出する
これらの制度により、シニア世代の継続的な就労や、万が一の離職でも安心できる制度が確保されています。
60歳以降の働き方・雇用形態
- 継続雇用制度を利用する
- パートタイム、アルバイトとして働く
- 個人事業主、フリーランスとして働く
継続雇用制度を利用する
パート・アルバイトで働く
- 70歳以上の求人も多く、仕事が探しやすい
- 一定期間ごとに契約を更新する形が多く、定年制度が適用されないケースが多い
- 週2回など、自分の体調やライフスタイルに合わせた働き方が選べる
- 正社員と比べて責任が軽く、負担が少ない
- 未経験でも始めやすい職場が多い
個人事業主・フリーランスとして働く
高齢者に向いている職種おすすめ3選
シニア世代が活躍できるおすすめの職種は以下の3つです。
- マンション管理士
- 警備員
- コールセンター
それぞれの仕事内容や特徴を紹介します。
マンション管理士
マンション管理士の仕事は、居住者が安全で快適に暮らせる環境を維持することです。おもな業務は以下の通りです。
- 居住者や来客者の受付対応
- 共用スペースの点検(照明・郵便受け・植栽など)
- 簡単な修繕や業者対応
- 廊下・階段・エントランス・ゴミ置き場など共用部分の清掃
- 管理組合の補助
警備員
種類 | おもな仕事内容 |
施設警備 | 施設内を巡回し、安全を確認する 出入口で不審者や不審物を確認する |
交通誘導 | 駐車場や工事現場で車や人の誘導を行い、トラブルを防ぐ |
シニア層が多い職種で、特別なスキルがなくても採用されやすいのが特徴です。ただし、屋外での立ち仕事が多いため、体力を考慮して勤務条件を選ぶことが大切です。
コールセンター
コールセンターの仕事は、座り仕事を希望するシニアにおすすめの職種です。電話を使って顧客対応を行う業務が中心です。
- 顧客からの問い合わせや相談の受付
- 企業から顧客への連絡業務
コールセンターは求人数が多く、短時間勤務からフルタイムまで柔軟な働き方が選べるのが特徴です。人生経験を活かせる仕事で、顧客の要望を理解する力が求められます。また、座り仕事で身体への負担が少ないため、シニア層に向いている職種です。
身体の負担が少ない仕事をお探しの方にはこちらの記事が役に立ちます。
長く働くことのメリットとデメリット
シニア世代が長く働き続けることには、収入面だけでなく、健康や生きがいなど、さまざまな側面でメリット・デメリットがあります。ここでは、実際に働き続ける際に知っておくべきポイントを解説します。
【メリット】収入アップと心身の健康増進
働き続けることで得られるメリットは、おもに経済面と健康面があげられます。
- 収入が増える
- 厚生年金加入や、年金の繰下げ受給で年金受給額が増える
- 条件を満たせば高年齢雇用継続給付金が受け取れる
- 体力や筋力の低下を抑えられる
- 脳の活性化により、認知機能の低下を防げる
- 社会参加の実感が生まれ、生きがいを感じられる
- 人との交流により孤独感が軽減される
【デメリット】年金受給額が減ってしまうケースも
- 再雇用などで雇用形態が変わり、給与が下がる可能性がある
- 年金受給額が減る可能性がある
- 年齢とともに体力が低下し、働くことが辛くなる場合がある
- 業務のデジタル化に追いつけずストレスを感じることがある
働きながら老後に備えるための対策
- 健康管理を心がける
- スキル、資格を習得する
- NISAやiDeCoを利用する
健康管理を心がける
- 病気の早期発見や予防のために健康診断を受ける
- インフルエンザや肺炎球菌ワクチンなど、年齢に応じた予防接種を受ける
- 栄養バランスの取れた食事を摂る
- 適度な運動で筋力や体力を保ち、体調を良好に保つ
スキル・資格を習得する
- ITスキル:基本的なパソコン操作やデジタルツールの使い方
- 語学力:英会話や観光案内に活かせる外国語
- 介護の基礎知識:介護の現場で役立つ基本的なケアの方法
NISAやiDeCoを利用する
- 長く働いて安定した収入を得る
- 効率的な制度を利用して資産形成する
まとめ
シニア世代が定年後も働き続ける際のポイントは以下の通りです。
60歳からの働き方を考えることは、自分の人生を見つめ直すよいきっかけです。シニア専門求人【PR市場】では、さまざまな職種や働き方の情報が掲載されており、いつでも気軽に閲覧できます。実際の求人情報を見ると、ご自身に合った働き方が具体的にイメージできるようになるでしょう。ぜひ参考にしてください。
【Q&A】
Q.70代で働いている方はどれくらいいますか?
A.内閣府の統計によると、2023年の70〜74歳の就業率は33.9%、75歳以上は11.0%です。この数字は平成27年以降上昇傾向となっており、高齢者の就労率は年々増加しています。
Q.70歳以上のパート、アルバイトの時給はどれくらいですか?
A.総務省の統計(令和3年)によると、70歳以上のパート・アルバイト労働者の時給は、全体平均で1,383円です。内訳は男性が1,533円、女性は1,260円です。