年金証書とは?届くタイミングや見るべきポイントを解説

公開:2024/12/31 更新:2024/12/31
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年金証書は、年金の受給権利を証明する書類です。郵便局での年金の受け取りなどさまざまな届出の場面で必要となり、年金を受給する方の身分証明書ともいえます。


年金証書は自動的に届くものではなく、年金の請求手続き後に郵便で送られてきます。しかし、年金の請求方法や書類の見方がよくわからない方も多いでしょう。そこで本記事では、年金証書の見方のポイントや紛失した場合の手続きなどについて解説します。

年金証書は年金受給の権利を証明するもの


年金証書とは、年金を受給する権利の証明として交付されるものです。

年金は自動的に支給されるものではなく、受給を開始するための手続きが必要です。手続きをすると、年金を受ける権利があることを日本年金機構が確認し、支払いが開始されます。

また、年金証書は年金の受給が開始されてからもさまざまな届出をする際に必要になります。例えば、郵便局の窓口で年金を現金で受け取る場合、年金送金通知書の添付書類として年金証書を提出する必要があります。このように、年金証書は年金を受けている方の身分証明書ともいえるでしょう。手元に届いたあとは、なくさないよう大切に保管しておくのがおすすめです。

年金証書が届くタイミング


年金証書は、年金を受け取れる年齢になったからといって自動的に届くものではありません。先述したように、年金を受けるための請求手続きをしたあとに送られてくるものです。

年金証書が届くまでの流れとして、まず老齢年金を受給できる年齢になると、誕生日の約3ヶ月前に年金請求の案内が届きます。請求書を記入し提出すると、1ヶ月半から2ヶ月後に日本年金機構で支給の決定がされます。支給の決定がされたあと、住所地あてに年金証書が郵送される仕組みです。

さらに1ヶ月から2ヶ月が経過すると、登録した口座に年金が振込まれます。年金は原則、偶数月の15日に前月分と前々月分、2ヶ月分の年金が振込まれるようになっています。15日が土日祝日の場合は、直前の平日が振込日です。

以上のように、年金証書が届くまでには、年金を請求してから2ヶ月程度かかるのが見込まれます。年金請求の案内が届いたら、早めに手続きを済ませておきましょう。

遺族年金の場合も、支給開始までには老齢年金と同程度の時間がかかります。障害年金は障害の等級を認定する手続きも含まれるため、年金証書が届くまでに3ヶ月から4ヶ月かかる場合が多いとされています。

年金証書と年金手帳の違い


年金証書と混同しやすいのが年金手帳です。年金手帳は、これまでに納付してきた年金保険料の記録のほか、加入する年金の変更などの経緯が記載されています。一方、年金証書は年金を受ける権利の証明となる書類なので、それぞれ役割が異なるものだと覚えておきましょう。

令和4年(2022年)4月以降に年金に加入した方の場合、年金手帳ではなく「基礎年金番号通知書」が発行されます。これはすでに年金手帳を持っている方が年金手帳をなくした場合も同様で、年金手帳は再発行されません。年金証書が届いても、年金手帳は捨てずに保管しておくとよいでしょう。

年金証書で見るべきポイント


年金証書で見るべきポイントは、大きく分けて4つあります。それぞれについて詳しく紹介します。

年金の種類


年金証書の上部の左上に記載されているのが、年金の種類です。年金には障害年金・老齢年金・遺族年金があり、それぞれ「障害」「老齢」「遺族」と表記されます。自分の受けている年金がどれに当てはまるのか把握しておきましょう。

基礎年金番号


年金証書の上部中央では、4桁と6桁の数字からなる基礎年金番号が確認できます。年金基礎番号は、年金に関する問い合わせや届出をする際に必要です。

基礎年金番号は年金手帳にも記載されています。基本的に1人につき一つの番号が付与されていますが、まれに手続きの行き違いなどで複数の番号を付与されてしまっていることがあります。その場合、支給される年金が少なくなる可能性があるため、年金事務所に問い合わせて確認をしてもらうとよいでしょう。

年金コード


基礎年金番号の隣には、年金コードと呼ばれる4桁の数字が記載されています。このコードが「1150」なら「老齢基礎・老齢厚生年金・特別支給の老齢厚生年金・老齢基礎年金(老齢基礎年金のみ)」、「1350」なら障害基礎・障害厚生年金といったように、受給している年金の種類によって記載される番号が変わります。コードそのものを覚えておく必要はありませんが、年金証書が届いたらよく確認しておきましょう。

受給権を取得した年月


「受給権者の生年月日」の隣には、年金の受給権を取得した年月が記載されます。受給権が発生する日は、受給開始年齢に到達する日の前日です。当日ではないことに注意しましょう。受給権を得た月の翌月分から年金の受け取りが開始されます。

年金証書とは別?年金決定通知書とは


年金証書と年金決定通知書は同じ用紙に一体となっていますが、別のものです。年金決定通知書は年金証書の下の部分にあり、支払いを開始した年月や内訳などが記載されています。

老齢厚生年金と障害・遺族厚生年金のどちらを受給しているかで、年金決定通知書の記載内容が若干異なります。それぞれの見方は次の章で確認してみましょう。。

年金決定通知書の見るべきポイント(老齢年金)


年金決定通知書が届いたものの、見方がよくわからない方も多いでしょう。ここでは、老齢厚生年金の年金決定通知書の見るべきポイントについて解説します。上部の太枠に囲まれた「年金額」には、今回の請求手続きで決定された年金額が記載されているので確認してみましょう。


厚生年金の加入期間と平均標準報酬額の内訳

年金額の下の部分に記載されているものは2つあります。一つは厚生年金加入期間の内訳、もう一つは平均標準報酬額等の内訳です。加入期間については、項目ごとに加入していた月数が表記されます。


年金額の計算に使われているのは、平成15年4月以降だと「平均標準報酬額」、平成15年3月以前だと「平均標準報酬月額」です。それぞれ、各月の標準報酬月額と標準賞与額の合計を、被保険者期間の月数で割ると求められます。


国民年金の納付済期間の内訳

厚生年金部分の下には、国民年金保険料の納付済期間等の月数が、第1号・第2号・第3号それぞれに分けて記載されます。


第2号の部分は、民間の会社員や公務員など厚生年金や共済組合に加入していた期間のうち、20歳から60歳までの間が保険料納付済期間となります。それ以外の期間は入らないため注意が必要です。


基本となる年金額等

この部分には、厚生年金・国民年金それぞれについて、決定された年金額が記載されています。記載が2段以上になっている場合は、一番下の段が最新の年金額です。


決定・変更理由

年金額が決定または変更された理由は、「決定・変更理由」の部分で確認が可能です。65歳到達時に年金の支払いが開始された際に記載されるほか、ほかの年金の受け取りを選択した際にも記載されます。


また、新たに仕事を開始して厚生年金保険などに加入した場合、収入によっては年金額が変更・支給停止となることがあります。年金額が変更・支給停止になった際もこの「決定・変更理由」部分に理由が記載されるため、間違いがないかよく確かめておきましょう。


年金決定通知書の見るべきポイント(障害・遺族年金)


障害年金・遺族年金の年金決定通知書は、老齢厚生年金のものとは少し記載内容が異なります。見るべきポイントについて解説します。

厚生年金の加入期間と平均標準報酬額の内訳

この部分は老齢厚生年金と同じです。遺族年金の場合は、家族ではなく亡くなった方の報酬を基準として記載されます。

障害基礎・障害厚生年金の障害の状況

障害年金の場合のみ、障害等級や次回の診断書提出年月が記載される部分です。次回の診断書提出年月の3ヶ月前には「障害状態確認届」が送られてきます。「障害状態確認届」は提出が必要な書類のため注意しておきましょう。

決定・変更理由

障害年金・遺族年金の場合も、年金額が決定または変更された場合は理由が記載されます。障害等級が変更・老齢厚生年金との調整などで、年金額が変わることがあります。年金額が以前と変わった場合は、理由の部分をよく確かめてみるとよいでしょう。

年金証書を紛失したら再発行が可能


もし、年金証書を紛失したり汚損したりしてしまった場合は再発行が可能です。手続きには、年金証書再交付申請書を近くの年金事務所に提出する必要があります。

申請書は年金事務所または街角の年金相談センターの窓口にあります。また、ねんきんダイヤルに問い合わせて送付してもらうことも可能です。

再交付した年金証書は、原則として日本年金機構で管理している本人の住所地あてに郵送されます。年金証書の紛失に気づいたら、慌てず再発行の手続きをするとよいでしょう。

年金証書の持ち主が亡くなったら


年金を受けている方が亡くなった場合、「受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要です。受給権者死亡届には、亡くなった方の年金証書のほか、住民票除票など死亡の事実を明らかにできる書類を添付します。ただ、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)を提出している方は、「年金受給権者死亡届(報告書)」を省略できる場合もあるため確認が必要です。

亡くなった方がまだ受け取っていない年金や、亡くなった日よりあとに振込みされた年金がある場合、亡くなった月分までの年金については、その方と生計を同じくしていた遺族が受け取れます。不明な点がある場合は、近くの年金事務所に問い合わせてみましょう。

働いていたら年金はどうなる?


年金を受け取れる年齢になってからも、再雇用や再就職などで働き続けるシニア世代は多いでしょう。働いている場合、年金はどうなるのかを解説します。

収入に応じて支給停止される場合がある


60歳以上の方が厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受けると、基本月額と総報酬月額相当額に応じて全部または一部の年金額が支給停止される場合があります。

基本月額は年金額の年額を12で割った額、総報酬月額相当額は毎月の標準報酬月額に1年間の標準賞与額を足して12で割った額です。

基本月額と総報酬月額相当額を合計した額が50万円以上の場合は、以下の計算式に当てはめた額が支給停止されます。

支給停止額= (総報酬月額相当額+基本月額-50万円)✕1/2✕12

働きながら年金を受給したい場合は、支給停止されない範囲に収入を抑えるとよいでしょう。

支給額変更通知書が届く


年金が支給停止されると、その時期や停止額、理由などが記載された「支給額変更通知書」が届きます。見方は先述した年金決定通知書と同じです。内容をよく確認し、不明点があれば年金事務所に問い合わせてみるとよいでしょう。

まとめ


年金証書は各種届出などに必要となる重要な書類です。紛失してしまった場合でも再発行が可能なため、慌てず再交付手続きをしましょう。再就職など収入の状況が変わったときは、支給変更通知書をよく確認しておくのがおすすめです。

年金だけでは老後の生活が心配な方には、「シニア専門求人」で仕事を探してみるのもよいでしょう。シニア世代でも働きやすい仕事が集まっており、簡単にやってみたい仕事を探せます。


【Q&A】
Q1.年金証書とは?
A1:年金を受給する権利の証明として交付される書類です。自動的に送付されるものではなく、年金の受給手続きをしたあとに送られてきます。年金証書は年金を受給し始めたのちにさまざまな届出をする際に必要になるため、大切に保管しておきましょう。

Q2.年金証書を紛失したり汚損したりしてしまったらどうする?
A2:年金証書再交付申請書を近くの年金事務所に提出すれば、再発行が可能です。再交付した年金証書は、原則、日本年金機構で管理している本人の住所あてに郵送されます。


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