65歳からの働き方でもらえる年金がこんなに変わる?注意点も解説!

公開:2024/04/30 更新:2024/04/30
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「65歳からの働き方でもらえる年金ってどれくらい変わるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

結論からいうと、65歳以降にもらえる年金額は「月額料金-(月額料金+総報酬月額相当額-50万円)÷2」で算出できます。しかし、具体的に65歳の働き方でもらえる年金額がどれくらいなのかわかりません。

そこで今回は、65歳からの働き方でもらえる年金額の違いや計算方法、具体的な注意点を解説します。

本記事を参考にし、65歳以降にもらえる年金額を把握してください。

65歳以上の労働者も加入可能な「在職老齢年金」とは?


在職老齢年金とは、年金の受給対象となった60歳以上の高齢者が働きながら受け取れる年金です。ただ、ボーナスも含めた賃金と年金の合計が一定基準を超えた場合、年金の一部または全額が支給停止されることがあります。

支給停止されるのは、月額料金と総報酬月額相当の合計が5048万円を超える場合のみです。あらかじめ把握したうえで労働時間の調整をしましょう。

また、2022年4月から「在職時改定制度」が導入されています。在職時改定制度とは、65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給者を対象に毎年10月に支給される年金額が見直される制度です。

従来は65歳以降の保険料を年金に反映するためには70歳になるか、退職をしなければいけませんでした。しかし、在職時改定制度が導入されれば、在職時に支払った保険料が反映されます。そのため、65歳以上の高齢者の労働意欲向上が期待できるでしょう。

65歳から損しない働き方を実現するためにも、本項を参考にしてください。

在職老齢年金の手続きの有無

在職老齢年金の加入者本人の手続きは基本的に必要ありません。在職老齢年金は、日本年金機構がおこなった手続きによって支給が決定するためです。


給料によって変動する標準報酬月額が改定になった場合のみ、会社が日本年金機構に届けを提出すると定められています。その結果、在職老齢年金の金額が変動する場合は、日本年金機構から加入者へ通知が来ます。


つまり、日本年金機構からの通知が来なければ、同じ金額の年金が加入者へ支払い続けられるのです。

在職老齢年金の計算方法


月額料金と総報酬月額相当額の合計が50万円以下の場合は、年金が全額支給されます。月額料金と総報酬月額相当額の合計が51万円以上の場合は、下記の計算式で支給停止額が算出できます。


支給停止額=
(総報酬月額相当額+月額料金-50万円)÷2


例えば、総報酬月額相当額と月額料金が30万円だった場合は、支給停止額が5万円です。つまり、毎月6万円の年金が支給停止になってしまいます。


ただ、70歳以上になると、厚生年金保険の被保険者ではなくなるため、保険料の支払いがなくなって経済的負担が軽くなります。上記の計算方法を参考にし、労働時間を調整しましょう。

繰り下げ制度とは?

繰り下げ制度とは、年金の受給開始時期を遅らせて年金額を増額させる仕組みです。年金の受給開始時期は66〜75歳まで任意で選択でき、1ヶ月単位で受給する月を決定可能です。また、1ヶ月受給を遅らすと、年金額が0.7%増額します。


つまり、年金の受給開始時期を75歳まで繰り下げると、年金額は最大84%の増額になります。仕事で安定して生計を立てられている方は、年金の繰り下げ制度を活用するとよいでしょう。


繰り下げ制度の注意点

繰り下げ制度を利用する際は、以下の2つのポイントに注意が必要です。

  • 加給年金は繰り下げ期間中に支給されず、繰り下げしても増額されない
  • 在職老齢年金による支給停止がある場合、支給停止された年金部分は繰り下げしても増額されない
加給年金とは、厚生年金の被保険者が65歳以上に達した時点で割り増しして受け取れる年金です。上記の場合は、年金の繰り下げによる増額のメリットが得られません。


繰り下げ制度を利用したくて加給年金の受給権がある方は、老齢厚生年金を65歳から受け取って、老齢基礎年金のみ繰り下げられます。

在職老齢年金を受け取りながら働く方法


在職老齢年金を受け取りながら働く方法には、以下の3つがあります。

  • 個人事業主・自営業として働く
  • 月の収入が50万以下になるように働く
  • アルバイトやパートで働く
ここで解説した方法を参考にしたうえで、65歳からの働き方を検討してください。

個人事業主・自営業として働く

個人事業主・自営業は、厚生年金に加入する必要がなく在職老齢年金が適用されないので、年金を満額受け取れます。個人事業主・自営業には特殊な技術や事前の専門知識の習得が必要だと思いがちですが、未経験歓迎の仕事もあります。


例えば、Webライターや動画編集者、プログラマーなどは未経験からでも徐々に知識を習得していけば問題ありません。また、Webライターやプログラマーなどは在宅ワークなので座って働けます。

月の収入が50万円以下になるように働く

再雇用として働き、厚生年金へ加入したとしても月の収入が50万円以下の場合は、在職老齢年金が適用されません。そのため、事前に会社へ50万円以下で働きたいと伝えておきましょう。


また、「在職時改定制度」の影響によって年金の受給額が毎月10月に上がる可能性があるので、定期的に受給額を確認してください。仕事に取り組むモチベーションの向上へつながるでしょう。

アルバイトやパートで働く

厚生年金へ加入せずにアルバイトやパートとして働き続けられれば、年金を満額受け取れます。ただ、以下の条件に当てはまると厚生年金への加入義務が発生するので気をつけてください。

  • 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
  • 週の労働時間が20時間以上ある
  • 月の賃金が88,000円以上
  • 学生ではない
参照:日本年金機構 | 2.令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大


厚生年金へ加入したまま働き続けると、年金が支給されません。上記の条件に満たないように気をつけたうえで、働きましょう。

在職老齢年金を受け取りつつ働くメリット・デメリット


在職老齢年金を受け取りつつ働くメリットには、以下の2つがあります。

  • 在職時改定制度によって毎年得られる老齢厚生年金が増える
  • 社会保険の保障が継続的に受けられる
老齢厚生年金の増加額は、今まで支払った保険料によって異なります。例えば、65歳で就職してから70歳まで20万円の給与で保険料を支払い続けた場合、年間13,000円ずつ増加するでしょう。


また、在職老齢年金を受け取りつつ働けば、社会保険の保障が継続的に受けられます。会社の健康保険に加入していれば、配偶者を被保険者にできるため、保険料の軽減へとつながります。一方で在職老齢年金を受け取って働くデメリットは以下の2つです。


  • 老齢厚生年金が受け取れない可能性がある
  • 在職老齢年金が全額停止の場合、加給年金は受け取れない
在職老齢年金は、メリットだけでなくデメリットもあります。上記のメリットとデメリットを加味したうえで、在職老齢年金を受け取りながら働く判断をしてください。

在職老齢年金を受け取りながら働く際の注意点


在職老齢年金を受け取りながら働く際の注意点として、以下の2つが挙げられます。

  • 確定申告が必要になるかもしれない
  • 厚生年金に加入しないと受け取れる年金が減る
在職老齢年金を受け取りながら働くためには、さまざまな注意点があります。ここで解説した注意点を参考にして働きましょう。

確定申告が必要になるかもしれない

在職老齢年金を受け取りながら働くと、以下のいずれかの条件を満たす場合は確定申告が必要です。

  • 給与の収入合計が2,000万円以上ある
  • 給与所得を除いた所得金額の合計額が20万円を超える
参照:国税庁|確定申告が必要な方


所得金額を合計したうえで、必要な場合は確定申告をしましょう。なお、確定申告をする際は、以下の5つの書類を用意する必要があります。


  • 確定申告書
  • 控除証明書
  • 銀行口座がわかるもの
  • 所得金額がわかるもの
  • 本人確認書類
在職老齢年金を受け取っていて確定申告が必要な場合は、上記の5つの書類を用意したうえで手続きを進めましょう。

厚生年金に加入しないと受け取れる年金が減る

厚生年金に加入しないと年金は満額受け取れますが、非常時に支払われる年金が少なくなります。具体的には、以下の4つが挙げられます。

  • 老後の生活を保障する老齢年金が受け取れない
  • 国民健康保険と国民年金は全額自分で支払う必要がある
  • 被保険者で亡くなった場合に遺贈に支払われる年金を受け取れない
  • 病気やけがによって障害が残ったときの障害厚生年金が受け取れない
上記のデメリットを加味したうえで、厚生年金へ加入する判断をしてください。

65歳以上の働く高齢者が知っておくべき在職老齢年金以外の制度

65歳以上の働く高齢者が知っておくべき在職老齢年金以外の制度には、以下の2つがあります。

  • 雇用保険
  • 配偶者控除
事前に制度を把握しておけば、65歳以上の高齢者が働く意欲を高められます。ここで紹介した制度を把握したうえで、労働へ努めてください。

雇用保険

雇用保険とは、労働者と生活と雇用の安定を目的とする社会保険制度です。雇用保険には、具体的に以下の4種類があります。

雇用保険の種類

説明

求職者給付

被保険者が失業した際に受け取れる保険金

教育訓練給付

失業者が新たなスキルを習得するために支給される保険金

就職促進給付

失業者が新しい就職先を見つけた際に受け取れる保険金

雇用継続給付

雇用している従業員が働き続けられるようにすることを目的にした保険金


平成29年度以降は65歳以上も雇用保険の適用対象になったため、65歳以降に転職活動する方は安心して保険金を受け取れます。

配偶者控除

配偶者控除とは、納税者本人と配偶者が以下のいずれかの条件を満たす場合に納税者の所得から一定の控除を受けられる制度です。
  • 納税者本人と控除の対象者が生計を同一にしている
  • 青色申告の専業従事者として1年を通じて一度も給与の支払いを受けていない
  • 控除を受ける年間の合計所得金額が1,000万円以下
  • 白色申告の専業事業者ではない

    参照:国税庁|配偶者控除
また、納税者本人の年間の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が48〜133万円以下の場合は配偶者特別控除が受けられます。

参照:国税庁|配偶者特別控除


納税金額を少しでも低くするために、上記の条件を満たしている方は配偶者控除や配偶者特別控除を受けましょう。

まとめ


65歳から働き続ければ、給料と年金が得られるので、安定した生活を送りやすいでしょう。
ただ、所得が48万円以上なら受け取れる年金が減るため、働く際には労働時間の工夫をしなければいけません。


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65歳から転職して在職老齢年金の受け取りを検討している方は、「シニア専門求人 PR求人」を活用し、効率的に職探しをしましょう。



【Q&A】
Q1.65歳以上の個人事業主はどんな年金を受け取れる?

A1.老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取れますが、正社員の場合と受給内容が異なります。正社員は厚生年金へ加入し、会社が保険料を半分負担してくれます。しかし、個人事業主は国民年金で、保険料を全額負担しなければいけません。


Q2.65歳以上で受給できる年金を増やす方法は?
A2.国民年金基金、付加年金、iDecoなどが挙げられます。国民年金基金は、老齢基礎年金への受け取る金額を上乗せが可能です。また、付加年金は国民年金基金同様に保険料で上乗せして支払うものであり、60〜65歳まで加入した場合は、年間12,000円も増加します。


iDecoは60歳まで引き出しが一切できませんが、運用益に課税されず受け取るときにも節税効果が得られます。上記の内容を参考にしたうえで、受給できる年金を増やせるように努めましょう。



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