60歳で年金をもらいながら働くには?仕組みと働き方について解説

公開:2024/04/30 更新:2024/04/30
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60歳を迎えると定年退職が近づき、まもなく年金受給生活に突入します。多くの方は、退職前の十分な貯蓄や資産運用で、年金だけでも豊かな生活を送れるでしょう。


しかし、「まだまだ働きたい」「年金だけの生活では不安」「生活水準を下げたくない」など、さまざまな理由から、定年退職後も年金をもらいながら働きたいシニア世代が増えています。


年金をもらいながら働くためにはどうすればいいのでしょうか。


本記事では、年金をもらいながら働くための年金の仕組み、年金受給者の働き方や仕事探しのポイントについて解説していきます。

年金をもらいながら働くことは可能?


結論として、働きながら年金を受給することはできます。

総務省統計局の調査によると、高齢就業者数は18年連続で増加し、2021年の時点で909万人と過去最多の人数に上り、働く高齢者が年々増加傾向であることがわかります。


平均寿命が大きく伸び、定年退職後も働く人口が増加している影響により、年金を受給しながら働き続けることが当たり前の現代になっています。

しかし、月々の報酬に応じて受け取る金額が異なります。これより解説する在職老齢年金の仕組みを知り、豊かな年金受給生活を迎える準備を整えましょう。

年金をもらいながら働くために知っておきたい在職老齢年金とは?


働きながら年金を受給する場合には、「在職老齢年金」制度が適用されます。

しかし、「在職老齢年金」は収入によって支給される年金の金額が減少してしまう可能性があります。

必要以上に多く収入を得たために年金額が減ってしまうことがないよう、制度の仕組みや具体的な計算方法の把握が重要です。

ここでは、在職老齢年金について知っておきたい2点について、ピックアップいたしました。

  • 在職老齢年金の仕組みについて
  • 在職老齢年金の算出方法
それぞれの項目について、確認していきましょう。

在職老齢年金の仕組みについて

在職老齢年金とは、60歳以降厚生年金に加入し、働きながら受け取ることのできる老齢厚生年金です。

在職老齢年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、給与収入があっても受給できます。

しかし、1ヶ月に受け取る給与と年金の合計金額が50万円を超えると、年金の一部または全額が支給停止になるため注意が必要です。

一方、老齢年金の一つである老齢基礎年金は、在職にかかわらず満額の年金を受け取ることが可能です。

原則的には65歳からの支給となりますが、「繰り上げ受給制度」を利用すると減額された年金を60歳から受給することができます。

しかし、2024年4月の段階で、今後の在職老齢年金の制度が見直される可能性が高まっているため、金額や制度については細目に確認していきましょう。

在職老齢年金の算出方法

では、実際に受け取れる在職老齢年金について、どのように算出できるのでしょうか。

先述の通り、年金の合計金額が50万円を超えると、年金の一部または全額が支給停止になります。

50万円を超えると、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額(賞与含む12分割の月額)の合計から、50万円を差し引いた数から2分割された金額が支給年金となり、残りの年金は支給停止となります。



ではここで、実際の例をみてみましょう。

まず最初にAさんの支給例です。

  • 給与月27.5万円(賞与を含む12分割)
  • 老齢厚生年金10万円(月額)
  • 老齢基礎年金6万円(月額)
給与と老齢厚生年金の総合計が50万円を上回らないため、老齢厚生年金を全額受給でき、老齢基礎年金6万円を含む、月43.5万円の収入が見込めます。

給与 (賞与含む12分割)

27.5万円/月


37.5万円≦50万円

※基準額以下のため

全額受給

 


本人の収入

合計

43.5万円/月

老齢厚生年金

10万円/月

老齢基礎年金

6万円/月

給与等にかかわらず

全額受給

次に、Bさんの支給例をみてみましょう。

  • 給与月50万円(賞与含む12分割)
  • 老齢厚生年金14万円(月額)
  • 老齢基礎年金6万円(月額)
総合計が50万円を超えてしまうため、(64万円-50万円)÷2の計算式より、年金が7万円停止され、合計金額が63万円に減額してしまいます。

給与

(賞与含む12分割)

50万円/月


64万円>50万円


(64万円-50万円)÷2

=7万円

※7万円の年金支給停止

 


本人の収入

合計

63万円/月

老齢厚生年金

14万円/月

老齢基礎年金

6万円/月

給与等にかかわらず

全額受給


このように、報酬によって年金の支給が停止してしまう可能性があるため、給与収入を自身で調整して働くことがカギです。より豊かな年金生活を迎えるために、報酬と年金のバランスを考えてから、働き方を見つめ直していきましょう。

60歳で年金をもらいながら働く手段とは?


ここまで、在職老齢年金の仕組みと算出方法について解説しました。

では、在職老齢年金を適用し、年金をもらいながら働くにはどのような方法があるのでしょうか。今までの勤務形態はもちろん、第二の人生として新たな働き方を見つける機会でもあります。

ここでは、60歳を越えて年金をもらいながら働ける手段を4点ピックアップいたしました。

  • 就業先の再雇用で働く
  • 再就職先を探す
  • 個人事業主として起業する・フリーランスとして働く
  • パート・アルバイトとして働く
一つずつみていきましょう。

就業先の再雇用で働く

まずは、現在勤務している就業先に再雇用として働く方法です。

2021年4月より、高齢者雇用安定法において、70歳までの就業確保が企業の努力義務化となっています。定年退職後も引き続き雇用を結ぶ「雇用継続制度」を導入している企業も近年では増加しているため、定年を迎えた後でも正社員や契約社員として働く方は珍しくありません。

しかし、再雇用で年金を受給しながらの業務となると、業務負担が少なくなることが考えられ、今までよりもやりがいを感じられなくなることが考えられます。一方で、慣れ親しんだ環境で働くことが、自身も安心して過ごせるため、大きなメリットとなるでしょう。
再就職先を探す
定年退職を機に、新たなスタートとして再就職先を探す方法があります。

厚生年金の加入対象企業であれば、在職老齢年金の適用となります。

「60歳を超えて転職なんて」と不安になる方もいるでしょう。しかし、悲観する必要はありません。今まで培ったスキルや人生経験を発揮し、新しい仕事に向き合えるチャンスです。

先述の通り、70歳以下の就業確保が企業の努力義務化となった影響から、60歳以上にお


「まだ働きたいけど、環境を変えてみたい」「新しいことにチャレンジしたい」方は、これを機に新たな一歩を踏み出してみましょう。
個人事業主として起業する・フリーランスとして働く
60歳を迎え、豊かな人生経験で生かせる仕事をするために、個人事業主として起業する・フリーランスとして働く方法があります。定年退職を機に、自分の得意な能力を発揮し、第二の人生として新たな一歩を踏み出したい方に適した機会ともいえるでしょう。

しかし、厚生年金に加入できないことから、在職老齢年金は適用されません。報酬が不安定になってしまうことが予測されますが、年金をもらいながら、何歳までも自由に働けます。

何より、時間に縛られることなく自分の都合に合わせた働き方ができます。時間を有効に活用して、今までやってみたかったことを踏み出してみるのもいいでしょう。
パート・アルバイトとして働く
「今までたくさん働いたから好きな時間に働きたい」「年金を受け取りながら短時間でも働きたい」など、今までよりも少なく働きたい方にはパート・アルバイトで働く手段があります。

勤務時間や日数によって社会保険に加入する場合は、在職老齢年金の対象となり、将来受け取る年金が増えるメリットがあります。しかし、その分手取り収入は減少するため、調整が必要です。厚生年金と合算して月の収入50万円を超えないか調整を行いながら、無理なく働きましょう。
年金をもらいながら働く仕事はどのような方法で探す?


年金をもらいながら働くために、どのような手段を活用して新しい仕事を探すのが効果的なのでしょうか。情報量が多い現代において、60歳以上の方が有効的に活用できる手段を選びたいものです。
 
ここでは、年金を受給しながら働ける仕事を探すために、活用しやすい2点をピックアップいたしました。

  • シルバー人材センターを活用する
  • シニア向け求人サイトを利用する
それぞれの項目について、確認していきましょう。
シルバー人材センターを活用する
年金をもらいながら働くにあたり、自治体の運営するシルバー人材センターを活用してみましょう。

シルバー人材センターで働く場合、厚生年金に加入しませんので、在職老齢年金の対象にはなりません。また、収入は報酬として扱われ「雑所得」となります。そのため、年金もカットされません。

新しい仕事探しとして、男女問わず働ける仕事はもちろん、ボランティアとして活動できる作業も豊富に用意されています。「定年退職後にいきなり仕事をするのは勇気がいる」方にも挑戦しやすく、新たなスタートラインに立つチャンスです。

シルバー人材センターで働くにあたり、やりたい仕事の希望を伝えることで、スタッフが親身になって相談に乗ってくれます。短時間や短期間、挑戦してみたかった職種など、自分に合ったやりたい仕事を見つけられるでしょう。
シニア向け求人サイトを利用する
近年では、インターネットを中心とした求人サイトが多く存在し、簡単に仕事探しができる時代へと変化しました。

シニア求人に特化した【PR市場】では、「年金受給しながら働ける仕事」「年金受給者歓迎」など、年金をもらいながら働ける仕事をたくさん公開しています。PCやスマートフォンなどを活用し、閲覧しているだけでも新たな発見が多く見出されます。

空いた時間を有効に使って、無理なく仕事探しができますので、新しい就業先を探してはいかがでしょうか。「まだまだ働きたい」その気持ちを大切にして、充実した年金生活を迎える準備をしていきましょう。

まとめ


60歳になって年金をもらいながら働くために必要な、在職老齢年金の仕組みや働き方について解説しました。

より豊かな年金生活を迎えるためにも、在職老齢年金の仕組みを知り、自分にはどういった働き方が適しているのか、考えてみるといいでしょう。

そして、本記事を参考に【PR市場】を活用して、年金受給しながら働ける仕事を探してみてください。60歳を迎え、新しい自分に挑戦できるこの機会に、新たな一歩を踏み出してみましょう。


Q&A】

Q1.60歳になって満額の年金をもらいながら働くことはできる?

A1.在職老齢年金を適用することで年金を受給しながら働けます。しかし、「老齢厚生年金の月額」と「総報酬の12分割」の合計額が50万円を超えると一部年金支給が停止になります。年金を満額受け取るためには総報酬の調整が必要です。


Q2.満額の年金を受給しながら働く手段は何がある?

A2.シルバー人材センターで働くと、「雑収入」となるため年金を全額受給できます。ほかにも、厚生年金の適用ではない個人事業主やフリーランス、短時間のパート・アルバイトなどで働くことで、満額の年金を受給しながら働くことができます。

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