独身の終活は何をすればいい?終活のメリットとやるべきことを解説

公開:2025/02/27 更新:2025/02/27
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シニア世代で独身の場合、人生の終わりをどのように迎えるか悩む方は多いかもしれません。孤独死や死後の遺品整理など、不安を感じる場面もあるでしょう。


だからこそ、独身の方は早めに終活に取り組むのがおすすめです。本記事では、終活のメリットややるべきこと、老後の不安をなくすためにできるものなどについて解説します。

終活とは?


終活とは、人生の終わりに向けてさまざまな準備や総括をする活動をいいます。具体的な内容としては、身辺整理や葬儀・墓の準備、財産相続の検討などが挙げられるでしょう。

近年では独身高齢者の孤独死や相続トラブルといった問題への対策として、生きているうちに人生の終わりに向けた準備をするのが一般化しつつあります。

独身者の孤独死は増えている

内閣府が公開している「令和3年版高齢社会白書」によると、東京23区内で一人暮らしをする65歳以上の人の自宅での死亡者数は、平成21年には2,194人でした。しかし、令和元年には3,936人と増加しています。

また、令和6年5月に行われた衆議院決算行政監視委員会の分科会で、警察庁は孤独死に関する調査結果を明らかにしました。これによると、令和6年1月から3月までに自宅で亡くなった1人暮らしの65歳以上の高齢者は、把握しているだけで1万7,000人あまりとなりました。年間では推計でおよそ6万8,000人に上る可能性があると予測されています。

高齢化社会・核家族化が進み、独身の高齢者が孤独死する事例は今後も増えていくと考えられるでしょう。

独身者が終活をするメリット


終活と聞くと面倒に感じるかもしれません。しかし、独身の方こそ早めに終活を開始するべきだといえます。独身の方が終活をするメリットを3つ紹介します。

親族や関係者へ大きな負担をかけずに済む

独身の場合、死後の手続きや遺品整理は、親族など生前の関係者にやってもらうことになります。終活の一つとして、葬儀の希望や連絡してほしい相手などをあらかじめまとめておけば、手続きを担当する方に負担をかけずに済でしょう。

生前の断捨離などで遺品を整理し、財産分与についての遺言を残しておけば、相続関係で周囲が困る可能性も減らせます。独身の方の終活は、残された方々への思いやりともいえるのです。

老後の不安を軽減できる

終活をすると、老後や死への不安と向き合えて、自分の人生を見つめ直すきっかけができます。本当に必要な持ち物を見極めることでモノへの執着がなくなり、手放せば身動きもとりやすくなるでしょう。

また、体調を崩したときの医療や介護をどうしたいかを考えておけば、必要なときにサポートを受けやすくなる安心感も生まれます。自分の人生の終わりを考えておくと、独身でも孤独感や不安感が軽減できるでしょう。

財産や葬儀について自分で決めておける

終活を通じて、財産の管理や葬儀のやり方などを自分の希望で決めておけるのもメリットでしょう。独身で相続人がいない場合は、友人や知人などに財産を譲ったり、希望する団体に寄付をしたりするのも可能です。

自分の財産の管理や葬儀のやり方を自ら決めておけば、自分の価値観にあった人生の最期を迎えられるでしょう。

独身者の終活はいつ始める?


終活は、特定の年齢になったら始めるといった決まりはありません。しかし、できるだけ早めに始めるのがよいとされています。一般的には、50〜60代で終活の計画を立てる方が多いといわれています。

まずは断捨離やエンディングノートの作成など、取り掛かりやすいものから始めるのがおすすめです。お金の整理や遺言書の準備などは認知機能が衰えてしまうと対応が難しくなってくる領域のため、記憶力や思考力に自信があるうちに行っておくとよいでしょう。

70代くらいには、生前整理や葬儀・お墓についても考え始めておきましょう。終活は時間がかかるため、早めに取り組んでおくと老後も安心できます。

独身者の終活でやるべきこと


「終活の必要性はわかったけれど、何から取り組んでいいかわからない」方もいるかもしれません。以下で、独身の方が終活で行っておくべきことを紹介します。

財産について把握しておく


自身がもつ預金口座やクレジットカードなどについて、早めに把握しておきましょう。使用していない口座やカードは解約し、使うもののみ残しておくと、突然の入院などのいざというときも安心です。

家賃や光熱費など、毎月引き落とされている固定費を把握し、使用している口座をメモしておくのもよいでしょう。株式や不動産など、資産になるものを一覧にして書面に残しておくと、残された方の役に立ちます。

エンディングノートを書く

エンディングノートとは、自分の人生の最期をどのように迎えたいか、意思を記しておけるノートです。葬儀やお墓、延命治療、遺品の処分方法などの希望を書き記しておくと、残された方の負担も軽くなります。

エンディングノートは特に決まった形式はないため、手持ちのノートなどに書き残しておいてもよいでしょう。注意点として、エンディングノートには法的拘束力がありません。そのため、財産分与など強い希望を残したい場合は遺言書も用意しておきましょう。

断捨離を進める

断捨離も、日常で手軽に始められる終活の一つです。不要なものを整理しておけば、身の回りが片付き、暮らしやすくもなります。残された方が遺品整理をする際の負担も軽くできるのもメリットです。

使用していない衣類や家電、家具などはリサイクルショップに売るとよいでしょう。捨てにくい思い出の品は、知人に譲るのも選択肢の一つです。

遺言書を書く

遺言書は、自分の死後の財産の分け方を指定できる法的な書類です。独身の場合、配偶者や子どもに財産を残せないため、誰に・何を相続させるのかを明確にしておく必要があるため、遺言書の存在が重要な意味をもちます。

財産分与はトラブルも多いため、弁護士や司法書士などの専門家に依頼して、法的に有効な遺言書を作成しておくとよいでしょう。親族以外でも、自分が応援したいNPO団体などに、「遺言書による寄付(遺贈寄付)」を行うこともできます。

お墓・葬儀の準備をしておく

独身の場合、葬儀やお墓の準備も自分で行っておくとトラブルを避けやすくなるでしょう。葬儀社と生前契約を結んだり、墓地を予約したりしておけるので、早めに相談してみるとよいでしょう。

一方で、子どもがいない場合はお墓の管理は年々難しくなっていくのが予想されます。その対策として永代供養付きの墓地を購入する、墓じまいを検討するなどの方法もあります。自分らしい葬儀やお墓のあり方を自分で決めておくのも、前向きな終活の一つです。

各種契約を結んでおく

財産の管理や事務手続きを一任するための契約を結んでおく手もあります。

「死後事務委任契約」は、自分の死後に発生する事務手続きを、生前のうちに専門家に依頼しておく制度です。葬儀やお墓の準備だけでなく、入院・入所していた場合は病院や介護施設の費用の支払いも行ってくれます。公共料金やクレジットカードの解約、役所への届出についても、信頼できる第三者に委任が可能です。このように、知人には依頼しにくいさまざまな手続きを、まとめて代行してくれるのがメリットです。

また、自分の判断能力があるうちに財産管理や介護療養に関する手続きを代行する後見人を選び契約しておく「任意後見契約」もあります。任意後見契約を結ぶことで、認知機能が低下したときの銀行手続きや年金・保険の手続き代行、施設や病院に入る際の身元引受人の依頼ができます。

「財産管理等委任契約」は、体調不良や老化などの理由で財産を自己管理できなくなった場合などに、財産管理を第三者に代行してもらえる制度です。利用するための要件は特にないため、判断能力が低下する前から財産管理を誰かに委任したい場合に活用可能です。

ただし、公正証書の作成や後見登記といった手続きを行わないため社会的信用が低いデメリットがあります。

持ち物やペットの行く末を決める

最終的に残った自分の遺品について、どのように扱ってほしいかを決めておくのも大切です。親族に譲りたい・処分して構わないなど、自分の意志をエンディングノートなどに記載しておくのもよいでしょう。

ペットを飼っている場合は、亡くなったあとに世話をしてくれる方を見つけておく必要があります。動物保護団体に依頼して、ペットを受け入れてもらう方法もあるため事前に調べておくのがおすすめです。

独身者の終活でかかる費用


終活を行う場合、利用するサービスにもよりますが一般的に数十万円から数百万円の費用がかかると考えられます。それぞれにかかる料金の目安は以下のとおりです。
  • 死後事務委任契約を締結:100〜150万円程度
  • 葬儀の生前契約:一般葬の場合で150〜200万円程度、直葬の場合で10〜30万円程
  • お墓の生前契約:一般墓の場合で120〜200万円程度、永代供養墓(合祀タイプ)の場合で5〜30万円程度
各種契約を結ぶかどうかによっても、費用は大きく変わります。どこまでお金をかけるのか、自身の懐事情とも相談しながら決めるとよいでしょう。

老後の不安をなくすためにできること


独身の方が老後の不安をなくすために、終活以外にもできることがあります。やっておくとよいことを3つ紹介します。

高齢者向けのサービスに申し込んでおく

独身の高齢者に向けたサービスにあらかじめ申し込んでおけば、普段の生活も安心です。民間のサービスには、24時間の見守りサービスや財産管理・相続手続きまでサポートしてくれるものがあります。

また、自治体でも一人暮らしの高齢者向けのサービスを実施しています。自治体ごとに設置されている「地域包括支援センター」では、高齢者の生活に関する困りごとを相談したり、定期的に訪問してもらったりすることも可能です。何かあれば相談してみるとよいでしょう。

介護の手続きをしておく

認知症の進行や体調不良になった際は、介護保険を利用して介護サービスを受けられます。介護サービスを受けるにはまず要介護認定が必要です。申請は市町村の介護保険担当窓口で受け付けているほか、地域包括支援センターで代行申請をしてくれる場合もあります。

歩くのが大変になってきた、物忘れが気になるなどの症状がある場合は早めに手続きしておきましょう。

アルバイトやパートで働く

体が元気であれば、アルバイトやパートで働いてみましょう。働くのは筋力・体力の維持にもつながるだけでなく、頭の体操にもなり認知機能低下の予防にもなります。

また、自分の力でお金を稼げば金銭面での不安も緩和され、自信もつきます。シニア歓迎のアルバイトも数多く存在するため、気になる仕事があればトライしてみるとよいでしょう。

まとめ


独身でも終活を早めに始めておけば、人生の最期を迎えるにあたっての不安は軽減できます。人生を見つめ直すきっかけにもなるため、計画的に終活に取り組むとよいでしょう。

終活に必要な費用を賄いながら、身体をいつまでも元気に保つためには、可能な範囲で働いてみるのがおすすめです。「シニア専門求人」では、シニア世代でもチャレンジしやすい仕事が豊富にそろっています。


【Q&A】
Q1.独身者の終活は何をすればいい?
A1:まず、自分のもつ財産や残しておきたいものについてあらかじめ確認しておきましょう。葬儀やお墓については自身で契約を済ませておくか、エンディングノートなどに希望を記しておくとよいでしょう。早めに持ち物の断捨離を進めておくと、残された人が遺品整理をする負担も減らせます。

Q2.独身者の終活はいつから始めるといい?
A2:終活は、特定の年齢になったら始めるといった決まりはなく、できるだけ早めに始めるのがよいとされています。50〜60代から断捨離やエンディングノートの作成、お金の管理などに取り掛かるとよいでしょう。70代には、自身の望む葬儀・お墓のあり方についても考え始めておくと、あとになって慌てずに済みます。

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