保育士は何歳まで働ける?長く働くために大切なポイントを解説
長年保育士として働き、「年齢を重ねても保育士として働いていたい」「子どもと接し、成長をともに見届ける」「やりがいの大きな仕事を続けていたい」と考えるでしょう。
しかし、「子どもが好き」だけではやり切れない、体力面などの不安を抱くことが多く、一体何歳まで働けるのか気になるかもしれません。
本記事では、保育士の定年や、長く働くためのポイントを交えながら、保育士は何歳まで働けるのか解説していきます。
保育士の平均年齢はどれくらい?
令和2年、厚生労働省により公開された「保育士の現状と主な取り組み」によると、保育士の平均年齢は36.7歳と発表されています。以下の表を確認してみましょう。
実際、20代~40代で保育士として働く割合が3割近くとなっており、50代を超えるとぐんと数字が下がっているのがわかるでしょう。
しかし、60代・70代以上でも働いている保育士も、全体の5%はあり、活躍していることがわかります。抱っこや散歩など、体力勝負ともいえる保育士の仕事ですが、60代を超えてもやりがいのある仕事に就きたいと思うからこそ、活躍し続けるのでしょう。
保育士は何歳まで働ける?定年は何歳?
令和3年に政府が改訂した「高年齢雇用安定法」によると、70歳までの定年の引き上げや定年制度の廃止など、70歳までの雇用確保が義務づけられています。
保育士も一般企業同様の定年年齢が設定されているのか、さまざまな保育園の形態があるなかで、定年の年齢は異なるのかも気になる点でしょう。
この記事では、2つの保育園のパターンを抽出し、それぞれの定年の年齢を確認していきます。
- 公立保育園の場合
- 私立保育園の場合
一つずつ、みていきましょう。
公立保育園の場合
公立保育園で働く保育士は、地方公務員の位置づけです。公務員の基準が適用されるため、今までは定年60歳となっていました。しかし、2023年に定年年齢が引き上げられ61歳に設定されています。今後は、2年ごとに定年年齢が引き上げられ、2031年には定年が65歳に引き上げられる見通しです。
また、公務員には再任用制度があり、定年以降も継続して働けます。65歳までの雇用確保が確認されているため、61歳を超えてもなお、保育士として働き続けることが可能です。
私立保育園の場合
私立保育園の保育士は公務員にあたらないため、保育園を運営する法人や会社によって定年年齢の設定が異なります。それにより、一律の定年年齢は設定されていません。
しかし、公立保育園と設定を合わせているところが多く、公立保育園同様61歳を定年としている保育園がほとんどです。
今後、公立保育園の再任用制度や70歳までの雇用確保を見据え、70歳の定年、もしくは定年制度の廃止を設定していく保育園が増加していくかもしれません。
近年では、経験値の高さや子育て経験を生かして、60歳以上の保育士を即戦力として採用していきたい私立保育園が増えています。経験値の高さはほかの何にも変えられない保育士のスキルです。70代を迎えても活躍できる場所はまだまだ多く用意されています。
保育士の離職率や退職理由は?
厚生労働省が令和2年に発表した「保育士の現状と主な取組」によると、公立・私立合わせた保育士の離職率は9.3%です。(参照:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」)
では、どのような理由で保育士の仕事を辞めてしまうのでしょうか。
ここでは、多くの方が辞めてしまう要因である項目を2点ピックアップし、解説していきます。
- 結婚や出産などライフスタイルの変化
- 体力的な負担が大きい
それぞれみていきましょう。
結婚や出産などライフスタイルの変化
結婚や出産など、ライフスタイルが変化するタイミングで退職を選択する方も多くみられます。
厚生労働省が令和4年に発表した「厚生労働白書」によると、保育士の退職理由として妊娠・出産は22.3%と5番目に挙げられています。
参照:図表1-2-62 保育士として就業した者が退職した理由(複数回答)|令和4年版厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保-|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
保育士は体力を要する仕事です。妊娠が発覚すると、お腹に子どもがいることによって、思うように体が動かず、体調面の不安を抱えて不安な気持ちが強くなります。
また、女性が多く活躍する保育園において、同じ立場の保育士が多く、気を遣ってしまう方も少なくありません。産休・育休制度はもちろん、働きやすい職場環境を整えていくことが今後の保育園の課題ともいえるでしょう。
体力的な負担が大きい
保育士は、1人に対して大勢の子どもの相手をする仕事です。子どもの安全を守ることが第一優先のため、子どもと密に接しながら、状況に合わせて動き続けています。
また、子どもとの信頼関係を築くために、抱っこをする、しゃがんで同じ目線に立つなどの動作は避けられません。そのため、腰や肩など身体的な負荷が生じます。
日々の保育においても、行事の練習や夏のプール・お散歩や外遊び・追いかけっこや鬼ごっこなど、常に動きながら仕事をする場面が多くみられます。
体力的な負担は非常に大きい仕事です。年齢を重ねていくと、これらのさまざまな要因が重なって体力的な限界を迎えてしまい、退職に至るケースは珍しくなく、保育士の継続を悩む方も少なくありません。
保育士として長く働くために心がけるポイント
さまざまな理由で退職を選択する保育士が多いなか、年齢を重ねても長く保育士として働くために、日々の生活においてどのような意識が必要でしょうか。
ここでは、60歳・70歳を迎えても保育士として働けるよう、心がけるべきポイントを3つピックアップいたしました。
- 自分に合った働き方を見つける
- ストレスを溜めない生活を目指す
- 体調管理に努める
それぞれみていきましょう。
自分に合った働き方を見つける
今までのようにフルタイムで働きたいと思っていても、ライフスタイルの変化によって難しい場面も出てきます。
また、保育士は早番・遅番などの不規則な勤務形態も大きな特徴です。そのなかでも、具体的にやりたい仕事内容を考えてみてください。
- 担任の仕事がしたい
- フリーとして全体をみていきたい
- 加配につきたい
- 得意のピアノを生かしたいなど
上記のような自分の理想を描いてみましょう。
フルタイム正社員やパート、勤務時間や勤務場所など、働きやすい環境づくりを自身で設定し、無理なく働ける方法を探していくことが大切です。
ストレスを溜めない生活を目指す
女性が多く活躍する保育園において、人間関係などのストレスを抱える場面も多いです。意見の行き違いなどで、職場環境のゆがみが出てくる事例も珍しくありません。
仕事をするうえで、ストレスは一番の敵です。しっかりと休息し、気分転換の方法を考えていくなど、気持ちよく仕事に取り組める方法を考えていきましょう。
人間関係のトラブルに見舞われた場合は、一歩引いて全体を把握し、快適な職場環境を整えていきましょう。
体調管理に努める
保育士として長く働くために、何よりも大切なのは体調管理です。
先述の通り、保育士は体力を消耗する仕事のため、日々の健康状態を保つことが大切です。特に60代・70代と年齢を重ねていくと、日常生活の少しの乱れが、体調を狂わせる可能性があります。しっかりと睡眠をとり、少しでもスムーズに動けるよう、自己管理をしていきましょう。
また、季節によっては炎天下のなかでの活動が予想されます。身体に負担がかかる活動をしたあとは、帰宅してゆっくり湯船につかる、マッサージやストレッチを行うなど、日々の体のメンテナンスを心がけていきましょう。
保育士資格を生かして働ける仕事は?
保育士資格を所持していると、働く場所は保育園にかぎらず、さまざまな場所で働けます。自身の保育における得意分野や個性を生かした働き場所はあるのでしょうか。
ここでは、保育士資格が生かせる3つの働き方をピックアップし、解説していきます。
- 保育園への再雇用や違う園へ転職する
- 赤ちゃんのお世話に携わるベビーシッター
- 児童福祉施設など児童指導員
一つずつ、みていきましょう。
保育園への再雇用や違う園へ転職する
長年慣れ親しんだ保育園で働くのが、何よりの安心でしょう。
そういった方は、長年働いた保育園での再雇用はもちろん、新たな環境を迎え入れるために違う園への転職なども視野に入れてみましょう。転職を考えている方は、まずは自身の希望と合わせながら、条件を絞ってみてください。
- フリー保育士や預かり保育のみの勤務
- 得意を生かせる職場
- 経験を発揮できる園長候補
以上のように、今まで保育士として培ってきた経験を発揮し、自信を持って働ける園を探してみましょう。近年では、小規模保育園や認定こども園など、園の形態も増えてきています。
経験値の高い60代・70代の保育士は、価値が高い即戦力です。今までの経験を生かしながら、新たな環境で若い世代にバトンをつないでいきましょう。
働く家族に必要不可欠なベビーシッター
共働き家庭が増えてきている近年において、ベビーシッターの存在は欠かせません。
ベビーシッターは、利用者様の自宅で、保護者に代わって子どものお世話をします。赤ちゃんのお世話をするイメージが強いベビーシッターですが、0歳から12歳までの子どもを預かることができるため、保育園よりも幅広い年齢の子どもと関われます。
「人の役に立ちたい」「1人の子どもとの時間を大切にしたい」方は挑戦してはいかがでしょうか。
児童福祉施設など児童指導員
近年では、発達の遅れや、集団生活のつまずきを抱え、支援を必要とする園児が増えています。その影響により、児童発達支援施設などの児童福祉施設が増設されており、園児を支援する児童指導員の役割は非常に大きいです。子どもとの関わりがスムーズに行えるために保育士資格所持者が優遇されるケースも多く、保育士の第二の働き場所となりつつあります。
児童福祉施設は、子どもの障害の特性や程度に合わせて、必要な支援を行います。そのため、保育園以上に1人ひとりと向き合える施設です。
また、保育園のような変則勤務が少ないのも特徴です。一定の勤務時間である施設がほとんどのため、生活リズムも整います。
今までの保育士のスキルを存分に発揮し、新たな視点から子どもの支援に携わるのもいいでしょう。
まとめ
保育士は何歳まで働けるのか、60代・70代になっても保育士として長く働くポイントについて解説しました。
年齢を重ねても保育士として働くために、保育士こそできる仕事は何か、探し出してみましょう。また、体調面や得意分野を生かすために、自分にはどういった働き方が適しているのか、考えてみてください。
シニア求人に特化した【PR市場】では、60歳を超えても働ける保育士の求人仕事を公開しています。本記事を参考に、ぜひ一度探してください。
60歳を迎え、新しい自分に挑戦できるこの機会に、新たな一歩を踏み出してみましょう。
【Q&A】
Q1:70代になっても保育士の仕事はできるのでしょうか
A1:70代を超えても保育士として働くことができます。 令和3年に改訂された「高年齢雇用安定法」によると、70歳までの定年の引き上げや定年制度の廃止など、70歳までの雇用確保が義務づけられています。経験値の高い70代の保育士は即戦力です。得意を生かして、長年のスキルを発揮してください。
Q2:60歳を超えても保育士として働くために、何に気をつけたらよいでしょうか。
A:保育士は体力勝負の仕事です。日常生活の少しの乱れが、体調を狂わせる可能性があります。しっかりと睡眠をとり、少しでもスムーズに動けるよう、自己管理をしていきましょう。また、自分の体調に合わせた勤務時間を調整し、無理のない働き方を心がけましょう。